KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
「育児をする気がないから子供を預かってほしい」「妻がラブホの前で見知らぬ男性といた」――誰もがネット掲示板などで読んだことがある衝撃的な体験だ。そんな書き込みに読者は憤り、共感し、そしてアドバイスをする。でも、そんな書き込みが、実は読者をダマして楽しんでいる、いわゆる「ネット釣り師」の創作だったら――。
日常に潜むちょっとしたことに、時事ネタ、社会倫理、生理的嫌悪感など、あらゆる要素を加味し、トライ&エラーの繰り返しで、日々先鋭化するネット釣り師達のスキル。悪用すれば世論も動かすこともある!? しかし、これらの投稿を見破る手段は存在した!
創作話を作り、読者の反応を楽しむ「ネット釣り師」たち。時には世論を動かすきっかけを作ってしまう彼らは、どういった手口で読者をダマし、そしてトリコにするのか。その鮮やかな手口の数々を、彼らの動向を15年間追ってきた人気ブロガーであるHagexが明らかにする。
書評・レビュー・感想
読んだ感想は、一言、「いやーすごい」。
これに尽きる。
ネット釣り師の世界がこんな風になってるとは知らなかった。というかそれをウォッチし続けている著者もすごい。
実際に現役ネット釣り師にインタビューしていたり、ネット釣り師を様々な角度から分析したり、ネット釣り師というか、ネットの釣りに対して、よくここまで深堀りできなあと感心した。
しかもこのネット釣り師というのは、非常に高いスキルが求められる。これができる人は文章で食っていけるんじゃないか?と思うほど。本書に悪いところがあるとすれば、読んだ後にネットを見ると、すべてが釣りに見えてしまう(笑 (著者は「釣り病」と名づけている)ことかな。
元2ch管理人のひろゆきが言ってた「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」ということかもしれない。
ただ、ネットを健全に利用したいという人は、「釣り師にだまされないこと」より、「すべてが釣りに見えてしまうこと」の方が問題かもしれないと感じたので、そういう人には本書はオススメできない。