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仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか? –安達 裕哉(書評・レビュー・感想)

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じつは「コミュニケーションがうまくいく」ためには暗黙のルールがあるのだが、多くの人は気づいていない。

・「伝わる」のは相手が聞きたいことだけ
・「知らないふり」をしたほうが会話はうまくいく
・知識レベルに隔たりがあるときは上手に「手加減」する
・「話が浅い」と感じる4パターン
・自慢話を聞いてもイラつかないで済む方法 ……etc.

本書では、著者が実際に体験したり、見聞きしたりしたエピソードをもとに「コミュニケーション能力」の本質が語られている。表面的なノウハウや建て前論ではなく、実際の仕事で役に立ち、かつ心に響く1冊。

書評・レビュー・感想

コミュニケーションに関する記事を集めて配置しているだけで、書き下ろしのような体系だった構成になっていないので少し読みにくかった。一応、章立てはあったが、あまり意味があるように思えなかった。
内容としては、微妙なものもあったが、一部に光るものを感じられた。

本書では、就活でコミュニケーション能力が求められている理由として、知識労働社会だからと述べる。
就活が必要な企業における知識労働の多くが自分だけで仕事が完結することがほぼなく、他者との協働が必要になるため、コミュニケーション能力が高いことが必然的になっているのが原因としている。ある意味妥当だと思う。
たしかに、自分だけで仕事が完結したり、他者と協働が必要ないような仕事であれば、いわゆる就活は必要ないだろう。
逆にいえば、自分がコミュ障だと思う人は、自分だけで仕事が完結したり、他者と協働が必要ないような仕事を探すのが良いだろう。
著者は、コミュニケーション能力が低い人は「知識労働」に向かないと書いているが、ちょっと一般化しすぎな感じも受けた。

ドラッカーの「マネジメント」からの引用が多かったが、たしかに本質的なことが書かれているので、使い勝手がいいのだろうと思う。

やはり問題は、コミュニケーション能力の定義である。
人によって、企業によってバラバラであるのでそれぞれの定義で会話しているので、齟齬が生じる原因だと思う。

本書にもいろいろな定義が書いてあったが、「自分自身を俯瞰する能力」というのが一番しっくり来たかな。
それで過不足なく表現されているとまでは思えなかったけど(笑

前書の「「仕事ができるやつ」になる最短の道」は、「なぜ働くのか?」「なぜ努力するのか?」について根源的な本質を考えさせてくれる内容となっていて非常に良書だと思ったが、本書はその意味では落ちる。

就活生や若手のビジネスマンにはいいかもしれないが、前書のように、読む人それぞれの立場、状況に応じて必要なものが得られる、どんな人にも薦めたいというほどではなかった。

ただ、「コミュニケーション能力って何だろう」と悩んでいる人にはいいきっかけになる本だと思う。


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