爆買い、おカネの亡者、パクリ天国–。こんな「中国人」像はもう古い!?
日本のそれを遙かに超えるスピードで激変する中国社会。街中ではシェア自転車が走りまわり、現金を持つ人・使う人もめっきり少なくなった。中国、そして中国社会の何が成熟し、また旧態依然のまま停滞するのはどんな部分なのか。数カ月単位で変貌する中国最新事情を豊富なエピソードから紹介する。
「中国でも人気の『半沢直樹』から、彼らは何を学んでいるのか」「レンタル彼女と帰省し、実家の親を安心させようとする」「シェア自転車にいたずらすると、なぜか婚活に悪影響!?」……。本書で示される、数多くの興味深い事例を読めば、中国に暮らす人々の等身大の姿がくっきり浮かび上がる。
彼らの思考、行動様式を知れば、日本に住む私たちと同じ希望、不安、苦悩を持つことが理解できる。いまの中国、そしてこれからの中国の行方を見すえる上で必読の良質なルポルタージュである。
書評・レビュー・感想
2017年10月発売の本であるが、今(2017年)の中国がわかりやすいように書かれている。
印象に残ったのは、
・「中国のほうが進んでいる」は、一面的で短絡的
・いわゆる「中国人」などいない
・徒歩10分以上歩かない理由
・中国の地下鉄車内が静かになった理由
・八〇后は、日本人が考える「中国人」ではない
ということである。
タイトルにあるように現在の中国では、AlipayやWeChat Payを利用したQR決済(スマホ決済)が普及している。私が調べた情報と本書の内容を付き合わせると、QR決済(スマホ決済)が普及した理由は以下のようなことである。
1.中国の銀行の利便性が非常に低い
2.日本のようなコンビニが少ない
3.低価格スマホの普及
4.ニセ札が多い(お金が汚い)
5.QR決済に店舗側として初期投資がかからない
6.売買双方に決済手数料がかからない
7.貧困層が多いためにクレジットカードに必要な与信に通る国民が少なく、デビットカードが普及していた
8.米国のような規制がない
このように社会インフラが十分に整っていなかった分、逆にIT化をスムーズに進められた結果がAlipayやWeChat Payを利用したQR決済(スマホ決済)の普及だろう。これはいわゆる「リープ・フロッグ現象」だ。
米国や日本のような先進国では、銀行やコンビニがたくさんあり、ニセ札の心配もなく、すでに決済手数料ビジネスであるクレジットカードが普及しており、店舗側も大きな初期投資をしてしまっているため、逆にQR決済の普及が遅れている。
ただ、著者は、そういった面だけをとられて、「中国のほうが進んでいる」は、一面的で短絡的だという。
「中国すごいぞ」に拒否反応を示す日本人は多いが、本書は中国のすごい面とそうではない面がバランスよく配置されているので、バランスの良い本だと思う。
現在の中国を知るにはうってつけの良書!