「なんで勉強なんかしなきゃいけないの?」
「いい大学や会社に入るため」「忍耐力をつけるため」「論理的思考力をはぐくむため」……いろいろ答えは返ってくるだろうけれど、どれが正解というわけじゃない。どれもある程度正しいように思うけど、また同時に、どれもちょっと違う気もしてしまう。
こうした「正解」のない、でもなんらかの「答え」がほしい問題の数々をとにかくひたすら考えつづけてきたのが、「哲学者」と呼ばれる人たちです。哲学こそが、「正解」のないさまざまな問いに、「なぁるほど、そう考えればたしかに納得できるな」という「納得解」を与えてきたものなのです。
書評・レビュー・感想
非常にすばらしい良書だと思う!
タイトルにある「なんで勉強なんかしなきゃいけないの?」に対する回答は、とてもシンプルである。→絶対的な答えなんてあるわけない!
おみそれしました。その通り。
この回答だけでよければ、読むのはココだけでOK。回れ右!
実際に重要なのは、この回答に至る過程であるが、本書全体を通じて著者が言いたいことは、「唯一の正解」とか「絶対の真理」といったものはなく、あるのは、自分にとっての「正解」だけだということだろう。非常にしっくりくる。
「なんで勉強なんかしなきゃいけないの?」に対する回答は、自分にとっての「正解」を見つけよう!である。その「正解」を見つけるためには、自分はどういう時に勉強する意味を感じられるのか?を考える必要がある。
ただ、これで終わってしまうと子どもには難しいかもしれないので、著者は、おそらくほとんどの人に共通するであろう回答として、「わたしを<自由>にしてくれる「力」を身につけるため」と答えている。これで納得できないのであれば、自分が納得できる「納得解」を探そう。
結局のところ、わたしにとっての「正解」と、ほかの人にとっての「正解」が一致するものが一般的に「正解」と呼ばれているだけということであり、一致しないこともよくあるということである。「なんで勉強なんかしなきゃいけないの?」も一致しない典型例だろう。
「1+1=2」というのも絶対的な「正解」ではなく、10進数においては。という条件付である。2進数においては、「1+1=10」が「正解」であり、誰にとっても、どのような状況においても「正解」という絶対的な「正解」はないということを理解できれば、考えが前に進むだろうと思う。
本書の副題は、<僕らの「答え」のつくり方>とある。
そう、僕らの「答え」を作ろう!