本書では、怒り感情のメカニズムから、キレる衝動を回避する応急処置の方法、そして、イライラを溜め込まない心の習慣など、心理学的見地から分析し、怒り感情のコントロールについて有効な方法を提示する。不機嫌な時代に生きる現代人必読の1冊である。
書評・レビュー・感想
イライラに関する心理本である。
普段、イライラしがちな人や、イライラとなった時の感情コントロールに悩んでいる人にオススメ。本書では、怒りやイライラというものが、どういう場合に発生して、その原因と、イライラしやすい人などについて書かれている。そのあたりは、ざっと読んでおくとして、じっくり読んで方がいいなあと思ったのが、第四章の「怒り感情の応急処置」である。
人間、だれしもイライラするのは仕方がないが、それを爆発させたりするとデメリットが計り知れない、だからこそ、このイライラをうまく抑え、発散させ、コントロールしたい。そのために必要な応急処置がかかれている。全部が全部できるわけではないと思うが、自分ができそうなものから試してみたい。
自分にできそうだなと思ったのは、
・実況中継してみる
・怒りを鎮めるセルフトーク
・どんなに親しくても「わかりあえないこともある」と心得ておく
・人に変わってほしければ、怒るより良い聞き手になる
といったところかと思う。
怒りに限らず、すべての感情がわきあがってくるかどうかも、出来事や状況によって決まるのではなく、本人の心が決める。怒るべき状況なのかどうかは、自分の受け止め方で決まる。それを踏まえた上で、以下の点を注意したいと思った。
・ネガティブな思いを口に出さない
・「なんで?」を「どうしたら?」に変える
・人に対する要求水準を下げる
・腹が立つことがあったときは、書いてみる
・「してあげたこと」より「してもらったこと」に目を向ける
・人生史から、支えになった人や出来事を掘り起こす
・ストレスを溜め込まないように、回避行動や発散行動をとる
また、巨人やメジャーで活躍した松井秀樹の言葉が紹介されていて、とても参考になった。
1つルールを決めています。それは、安易に口に出さないことです。不思議なもので、言葉として口に出すと、気持ちがエスカレートしてしまう気がするのです。ファンの方が聞いても、物足りないかもしれません。よく知人からも「もっと感情を表に出せばいいのに」と言われることがあります。しかし、僕は感情を口や顔に出すと、その感情に負けてしまいます。腹が立ったり、不満が出てきたりするのは、仕方がありません。思ってしまうのだから、自分にも止められない。でも、口に出すか、出さないかは、自分で決められます。そこに一線を画した方が、自分をコントロールできるような気がします。
「イラッとくる」構造を知り、その心理メカニズムを理解した上で、うまく感情処理をする方法を学びたい人にはオススメの一冊である。